公開講座
― Lee博士に聞く   韓国の環境ラベル事情―

 

講演者:Kun-Mo Lee博士(韓国AJOU大学教授)
講演者:Kun-Mo Lee博士(韓国AJOU大学教授)
 2003年2月16日(日)15:00〜17:30、東京・四谷の主婦会館プラザエフ5階会議室において標記のNACS環境委員会主催の講座を開催しました(参加者19名)。
 Kun−Mo Lee博士(韓国AJOU大学教授)は、エコデザイン、ライフサイクル・アセスメント(LCA)、環境ラベル、環境マネジメントシステムを研究され、ISOの環境ラベル小委員会でタイプII環境ラベル(自己主張型の環境宣言)とタイプIII環境ラベル(定量情報表示型の環境宣言)の韓国のエキスパートでもあります。

< 韓国ではタイプIII環境ラベルが急速に進展 >

 最初に、国際標準化機構(ISO)における環境ラベル国際標準化の流れや環境ラベル3タイプの特徴や長所・短所についてのわかりやすい説明があり、その後、韓国の環境ラベルの全般的な事情について、話題提供がありました。

 日本のエコマークと同じタイプI環境ラベルも韓国にはあるが、今まではマークが付いている商品=品質が劣っている商品というイメージがあり、消費者に信頼されていなかったそうです。しかし、マークの基準見直しがあり、最近では信頼されつつあるとのことでした。タイプII環境ラベルのある商品もたくさん出回っているが、ISO14021に準拠しているものは少ないとのことでもありました。

 近年の動向として、進展が著しいのはタイプIII環境ラベルです。輸出戦略強化の観点から政府の強力なバックアップ=法制化によってタイプIII環境ラベルが進められていること、パイロット事業に参加した企業によってパソコンの液晶モニターやトイレットペーパーなど一般消費者向けの7製品にすでにタイプIII環境ラベルが付いていること、タイプIII環境ラベルの国際ネットワークGED netに加盟していること等の紹介がありました。韓国企業のタイプIIIラベルの見本の解説もありました。

 引き続き、参加者の質問に先生が応じる形で話し合いをすすめました。そこでも、韓国での環境ラベルの普及は政府のイニシアティブによる影響が大きいことに再び言及され、一般消費者は日本ほど理解してラベルを見てはいないことなどコメントがありました。

< 環境問題解決に向けた日本への期待 >

 最後に参加者へのメッセージとして、「環境問題はグローバルな問題であり、国を超えた、こうした情報交換・アイデアの共有の場が重要です。アジアの中でも日本にその主導的役割を果たして欲しい」と強調されました。また、「環境問題の解決に向けては持続可能な消費社会を築くには、何か新しいことをただ導入するというだけではなく、根本的な考えを、所有から共有へ変換していくことが必要であり、習慣付けの行動が大切だ」と指摘されました。 公開講座風景
公開講座風景
 隣の国でありながら、環境問題に関する情報交流があまり進んでいない韓国と日本。消費者レベルでの交流の必要性を実感した一日でした。



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